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2015/02/10(火)

つくるビルゼミコラム vol.5 「DM-1グランプリ2014」

2月ゼミ

 
 2015年最初のつくるビルゼミでは、2014年に開催された展覧会のDMから、ベストDMを決定する「DM-1グランプリ2014」を行ないました。当日のゼミ参加者9名がそれぞれ持ち寄ったDMは100点ほど。膨大な量を壁に貼りつつ、それぞれの持参理由をお聞きしました。話題はDMデザインやサイズ、紙質から、具体的な発注先、宛名面の手書きやコメントのおもしろさ、DMを保存・収集するマイルールや整理術にまで及びました。その後1人2票を投票してグランプリが決定いたしました。


DM-1グランプリ2014
森村誠展「g+α」(2014年6月30日~7月12日、2kw gallery

受賞理由
表面が宛名面、裏面も宛名面?
そう、本展のDMは郵便はがき両面が宛名面となっているDMなのです。
ポストからDMを取り出した時の「?」は忘れられません。しかも宛名書きは手書きで片面が日本語縦書き、もう片面が英語横書きでした。ただでさえ宛名の手書きは大変だろうと察しますが、それを二言語で行うことは想像するまでもない労力です。

 では、なぜそのような奇抜なデザインなのかと言えば、展覧会の内容に関わります。
本展は、森村誠の「g(グラム)」シリーズの多言語展開を試みたもので、DMはその内容を示唆するものとして二言語で宛名が書かれていたのです。宛名面しかないDMは、ともすれば「作品画像」のない地味なDMかもしれません。しかし、宛名面に宛先が書かれることで、作家性、作品コンセプトが結実する見事なDMでした(DMばかり絶賛して恐縮ですが、作品やコンセプトの高い完成度がなければ成立しないDMであることは言うまでもありません)。

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総評
 展覧会のお知らせがメールやSNS、ネット中心にとなりつつある現在、展覧会の案内状DMはなくなるのでしょうか。どうやら、そうでもなさそうです。
今回入選したDM、捨てられずに保存しているDMの特徴として、デザイン、身体性、物質性が挙げられます。DMは展覧会の広報メディアの1つですので、デザインが魅力的なことは言うまでもありません。今回の入選DMでは、名刺判サイズからA4判まで多種さまざまなサイズがあり、紙や印刷加工も展覧会コンセプトや作風に沿ったものが視覚化されていました。  

続いて、DMには、宛名やコメントが手書きだったり、切手に凝っていたりといった身体性、痕跡があります。年賀状と同じく、機械的に処理されていないハンドメイドな要素として身体性が介在することで、DMは印象深くなるのです。  最後に、DMは展覧会情報ですが、展覧会鑑賞を想起・誘発する物質であることです。紙に触れること、見ること。厚さ・薄さ、めくる、紙特有のヨレや折れ、シワなど紙の物質性が、展覧会を記憶するツール・資料となり、話題を共有する媒体ともなるのです。

 今回の準備作業の時、初めて展覧会DMを頂いたときのことを思い起こしました。私は大学入学後にギャラリー巡りをするようになり、芳名帳に住所を書くと、時々展覧会のDMが送付されるようになりました。なんら地位も実績もない私に、展覧会DMが届くこと。それは勝手な思い込みにせよ他者から承認されたような喜びがありました。郵便ポストに届くDMは、手書きであれ宛名シールであれ、私にとってはささやかではあっても、なにかに当選したような郵便的幸福感を与えてくれるのです。  今回の企画は、2014年に私宛にDMをお送り頂いた方がいなければ実現できませんでした。この場を借りてDMをお送り頂いた皆さまに心よりお礼申し上げます。

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入選(開催順)
・村上三郎展(2014年3月7日~3月29日、アートコートギャラリー)
・若杉聖子展「Snow Blossoms」(2015年3月19日~4月6日、ギャラリーあしやシューレ)
・金氏徹平個展「フライド幽霊とボイルド空想」(2014年3月20日~ 4月26日、ShugoArts)
・大洲大作「光のシークエンス」(2014年4月22日~5月4日、Gallery PARC)
・光は曲がらない 4 lessons of phography(2014年5月20日~6月7日、MATSUO MEGUMI+VOICE GALLERY pfs/w)
・野田涼美展(2014年6月28日~7月12日、ギャラリーギャラリー)
・第30回企画展「CLASH」(2014年8月4~12月11日、王子ペーパーライブラリー)
・山本雄教展「one」(2014年9月16日~9月28日、ギャラリー恵風1F)
・Nishijin Sky : テレジータ・フェルナンデス+細尾(2014年10月2日~2015年1月16日、京都造形芸術大学瓜生山キャンパス エントランス・ラウンジ)
・丹羽康博「Recepter」(2014年11月15日~12月13日、ギャラリーキャプション)

平田剛志