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2015/07/10(金)

つくるビルゼミコラム vol.10 「美術の旅行術」

tukuru column vol.10 

 7月になり、京都では祇園祭が始まりました。今年もいよいよ夏がやってきます。夏休みの旅行計画を立てた方もいるのではないでしょうか。夏といえば、夏フェスですが、美術界も例外ではありません。今夏は、大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ(7月26日~9月13日)、開港都市にいがた 水と土の芸術祭(7月18日~10月12日)、堂島リバービエンナーレ(7月25日~8月30日)、別府現代芸術フェスティバル 混浴温泉世界(7月18日~9月27日)、海外では第56回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展(5月9日~11月22日)などが開催されます。

 しかし、日々の仕事や雑事をこなすのが精いっぱいの日常で、各地の夏フェス、美術館やギャラリーを巡るとなると、お金も時間も限られます。
 そこで、6月のつくるビルゼミでは、旅行の計画・準備から移動、宿泊、帰路、各自の旅の仕方、旅先での習慣まで、アートと旅にまつわる旅行術をテーマとしました。どこに行くかも大事ですが、どのように行くのか、旅や移動にまつわる手法・手段もまた重要だと考えるからです。

 そもそも、美術作品は展覧会となれば輸送しなければなりません。版画や写真を覗けば、1点しかないからです。
 作品だけでなく人も移動しないと始まりません。アーティストに移動はつきものですが、学芸員、研究者、批評家などなどアート関係者はよく移動します。作品・資料調査、取材、会場下見から打ち合わせ、プレゼンはもちろんのこと、作品の搬入・搬出、展示・設営、内覧会やオープニングパーティーまで含めると、数多くの人や資材が移動します。日頃のギャラリー巡りでさえ一つのフィールドワークですし、作品を見るために移動するのは日常でさえあります。
 移動あってのアート界だからこそ、アート関係者はそれぞれの旅行、出張、移動の流儀や方法を持っているのではないでしょうか。残念ながら潤っている業界ではないゆえに節約・倹約が前提というケースが多いと思いますが、だからこそ、美術の旅行術から見えてくる「術(Art, Ars, techné)」を共有することで、さらに旅や移動を楽しくできれば幸いです。

 さて、当日のゼミでは5名の方にご参加頂きました。参加者の方からはさまざまな旅行術の話題があがり、旅行・出張の参考になる情報源を得る機会となりました。まず、移動ですが、新幹線を使う場合は、片道のみや旅行プランに新幹線代が含まれているなど割引があるときに利用するという意見がありました。時間的、身体的にも便利な新幹線ですが、まだまだ美術界の若者が一般に利用できるのにはハードルがあります。ほかに春・夏・冬の一定期間にJRの普通・快速列車が1日乗り放題となる「青春18きっぷ」、高速バスを利用されている方が多くいました。以下では高速バスに絞って見ていきます。ポイントは以下となります。

・バスの予約は「バス市場」
・座席は通路側を選ぶ。
・パーキングエリアでの休憩は降りる。

 高速バスといっても、各社さまざまです。まず、JRの高速バスは値段が高いため、避けます。参加者からは「バス市場」が安くて予約が取りやすくて便利との声が上がりました。
 予約にあたっては、座席選びも重要です。4列スタンダード車の場合、11列以上だと座席間が狭い可能性あるとのご意見がありました。座席表が表示できる場合、席数も確認しましょう。最後部席が4列でないときは避けた方が無難です。ちなみに、筆者はテーマパーク系ルートは賑やかな学生や家族のグループが多いため避けます。予約時には経由地も確認しましょう。
 続いて、座席選びですが、座席は通路側を選びます。その理由は、冬は窓からの冷気で身体が冷えること、窓側席だと窓と隣の席に挟まれて窮屈だが、通路側だと広く感じる、通路に足を伸ばしたり、体勢を変えられるという意見があがりました。さらに、パーキングエリアでの休憩は降りるという意見も共通してありました。やはり新鮮な空気を吸い、旅行気分を味わうのも大切です。

 さて、いよいよ目的地に到着しました。お疲れさまでした。これからどこに行きましょうか。まだ時間は早朝、空いているお店は限られます。参加者の多くが向かうのはファーストフード店でした(それしか空いてないのも事実ですが)。例えば、東京駅八重洲口のマクドナルド、または新宿駅のマクドナルド、ファーストキッチン新宿南口店で休憩、スマートフォン充電、情報収集をします。その際、スマートフォンのバッテリー節約のため、美術館・ギャラリーの地図など調べた情報はスクリーンショットで保存し、ウェブを頻繁に使わないよう心掛けます。以上をこまごまやっていると、本格的に朝が動き出す時間となるでしょう。お店を変えて朝食とするか、9時から開く美術館や遠方の美術館へと向かいましょう。

 宿泊の例としては寝カフェなども挙がりましたが、こちらもまた体力勝負な話題となりました。行く土地・地域によっても旅行術は変わります。またの機会にはポイントを絞ってアートツーリズムを取り上げていけたらと考えています。それでは、よい旅を!